2018年6月9日
川越地区ミニ支部会主催 溝尾先生の講演会
「世界では『ふつう』ではない国日本
―日本の尺度で世界を見ない―」
川越市西文化会館メルトにて、溝尾良隆先生(会員のご主人様です)のご講演をいただきました。一人のキャンセルもない31名の出席者を得て、狭い会場はいっぱいになりました。
先生は風邪気味の上、1時間前に福井からお帰りになったばかりでしたが、パワーポイントを使って、わかりやすく丁寧にお話しくださいました。
先生は、地理学をご専門でしたが、日本交通公社にお勤めなさり、その後立教大学の観光学部長等を歴任され、現在同大学名誉教授です。
川越市関係では、伝統的建造物群保存地区保存審議委員、第4次川越市総合計画会長等々をなさっていらっしゃいます。また、全国及び諸外国にも観光振興について関わりを持たれ、著書も多数あります。
そのような素晴らしい先生に、ぜひお話しをお聞きしたいとお願いして、実現しました。
日本は、なぜ「ふつう」の国ではないのか?
7世紀後半または8世紀初頭からずっと「日本」という国号、
「天皇」という称号が続く。
(こんな国はほかにはない。)
・外国では、国が分離したり、解体したり、合体したりしている。
日本は 小さい国?
・ヨーロッパでは日本より大きい国は3つ。(旧ソ連を除く)
・人口は、ヨーロッパでは日本より多い国はない。(〃)
・海岸線は世界第6位。東西南北の長さは世界7位。
・しかも自然景観・地域特性の豊かなこと!
「日本は風景が多すぎる」(明治20年ごろ来日の英人作家キップリング)
大陸と一衣帯水の距離がよい
・外国から攻めにくかった。
・最終ゴールは、情報が集積する。(アウトプットしない)
しかし、国際性に乏しくなった。
・明治時代、植民地にならないように、フランスの植民地マダガスカルを研究した。
日本は中央集権国家である
・「どうして国の方針が隅々まで行き渡り、理解されているのか」と外国からは見られる。
・外国では自治体優先が多い。
・国が税金をとって、県・市町村に配分。市町村の力を弱めていった。
多種多彩な日本の自然
・「日本アルプスは、山頂までの森林と渓谷の美しさはヨーロッパ・アルプスをはるかにしのぐ」(英人W.ウエストン)
・4つのプレートがぶつかり合う、火山、湖、温泉など多くの観光地。
・豪雪、台風、高温高湿度の亜熱帯。
一色でない日本の文化 一色にしない
・渡来人の進入路は、北、西、南から入ってくる
・北海道、本州、沖縄で大別され、本州はフォッサマグナ、西南日本は中央構造線で分けられる。
・東日本は落葉広葉樹林帯、西日本は照葉樹林帯
(稲作をしない東国や東北は遅れていると京・大阪側からの説)
・政治・経済は、奈良・京都・大阪、鎌倉・江戸に分かれ、二大並列のまま
・新しい視点:東京志向でなく、九州はアジアの入り口であるからアジアとの連携など。
追加
・アイスランド
人口33万人と、川越市よりやや少ないくらいなのに、ノーベル賞受賞者が二人出ている。
ハンドボールもオリンピックで銀メダル。
プレートがぶつかる海溝や海嶺が、陸上で、世界最大規模で見られる。
できたばかりの国土で、土がない。
男女平等指数は世界第1位。(日本は114位)
子供は国が責任を持つ。
など諸外国の写真を交えながら、たいへん興味深いお話しをしてくださいました。
その後お茶やお菓子をいただきながらの質疑応答でも、
先生の博識さとお人柄がわかる、たいへん貴重な時間を持つことができました。
日本について、意識改革と言えるほど見識が広まりました。
溝尾先生、有意義なお話を本当にありがとうございました。
お集まりいただいた皆様、暑い中お越しいただきありがとうございました。
当日のアルバム→ こちら