SSイベント報告

東京女子大学同窓会 埼玉支部 の活動のあれこれをお伝えします。
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報告*5/21(土)JR大宮支社長  阪本未来子さん講演『優しい輸送サービスを目指して』
2016年埼玉支部の集いは、JR東日本大宮支社長就任の新聞記事がきっかけで、同窓生のJR東日本株式会社 大宮支社長 阪本未来子(さかもと みきこ)さんに講演をお願いしました。



きりっとしたスーツ姿のプロフィール写真と違い、この日の阪本さんは落ち着いた色のワンピースにノーカラージャケットを着こなして、とてもフェミニンな印象。
こんな柔らかな雰囲気の方が、数千人もの社員をかかえる支社のトップで、2兆円企業の執行役員をなさっている事実に、これから聞くお話への期待が高まります。
大木支部長からの紹介を受け「平素よりJR東日本をご利用いただきありがとうございます」と、わざと営業用挨拶で応えるユーモアに会場から笑いが起こりました。「今日の話を通じて、JR東日本が『怖い』『冷たい』会社ではなく、『面白い』と思ってもらえれば」とのことでしたが、若くて快活な女性が大きな会社で活躍していること自体、十分好感度をあげていると思われます。
以下は講演の内容です。      (文責:役員会  H.K)


『優しい輸送サービスを目指して』

〇東京女子大学時代

1989年文理学部社会学科卒。大学時代は、統計手法やフィールドワークを学ぶ。卒論は「地方自治体での権力構造」。
あまり熱心な学生ではなく、大学の図書館でたくさんの本を借りては、大教室の後ろで読んでいた。興味のあるなしに関わらず、左の翼から右の翼まで、大学の先生方からいろいろな考え方を教えてもらった。
現在は高円寺に住み、近くに善福寺川が流れ、趣味のウォーキングをしていると、かつての学び舎を目にする。
今思い返すと、東京女子大学は“温かい”学校だった。

 

〇JR東日本(株)へ就職

1987年JR東日本発足当時の女性職員は全体の0.8%で、系列病院の看護師か電話交換手が主だった。翌88年、新卒97名のうち女性2名(技術職)を初採用したが、事務系総合職採用の1期生は私たち1989年入社の、いわゆる平成元年組である。217名中34名が女性。そのうち14名は今も働いている。
当時は、1985年の男女雇用機会均等法施行と景気の後押しを受け、多くの企業が積極的に女性の採用を始めたころ。なぜわざわざ、女性活躍の前に女性社員が少数の会社に?と疑問を持つことだろう。実際、他社の募集要項の中には『女子も可』と表記されており、「“も”ってなんだよ!」と思った時代である。そして、就職活動中JR東日本の社員の方から話を聞くうちに、JR東日本には魅力的な人が多いとわかったこと、“女性がいない”ことが逆に、入社してから何かが出来そうに思えたこと、が就職の決め手になった。
しかし、当時母は泣いて反対した。母の反対を押し切るのは大変だったが、今では勤続28年目。よもやこんなに長く勤めることになるとは想像していなかった。

〇入社〜現在まで

今までに19回の転勤を経験。
7年目までは人事部の教育関係が中心の仕事で、いわゆる鉄道マン的な仕事に携わることはできなかった。
1999年に労働基準法の「女子保護」規定が改正され、時間外勤務や深夜・休日の労働ができるようになり、『駅勤務➡車掌➡運転士』というサイクルや『メンテナンス部門』への採用も始まる。その中で駅営業での女性社員用キャリアプランの作成に携わった。
びゅうプラザの助役という管理者の立場を経験後、渋谷駅の副駅長として初めての管理職に。水戸支社への単身赴任を経て2度目の大宮支社勤務時に東日本大震災を経験した。帰宅困難となったお客さま対応、計画停電対処など、問題は多々あったが、列車が駅間で緊急停止をした際に、周辺地域の方々が、乗客への避難場所や食料、非常発電機を提供してくれるなど助けてくださった。
また、復旧後の運転再開をたくさんの人に喜んでいただくという貴重な経験もした。
その後、本社でサービス品質改革の仕事に関わったのち、2015年、支社長として3度目の大宮勤務となる。

〇JR東日本グループについて

JR東日本になって、まず初めに事業者として判っていた問題点『接遇』と『混雑緩和』『トイレの改善』は急務として取り組んできた。
『マーケティング近視眼』の著者、経済学者のセオドア・レビットによれば「アメリカの鉄道会社の衰退は、自動車や航空機のせいでなく、お客さまや物を目的地に運ぶことととらえず、車両を動かすことを自らの使命だと定義したことが要因」だそうだ。
私たちも、列車を動かすという機能的なことではなく、お客様を目的地まで安心、安全に送り届けることを事業運営の目的にしなければならない。
安全性の確保のために、線路の保守をし、快適な車両を作り、安心して列車を利用してもらうために「エレベーターがない」「券売機が使いにくい」という要望に応えるのである。
都心の混雑率を例に挙げると、ダイヤの設定や車両を幅広くする等の工夫で混雑率は下がってきたが、「快適」と感じられるまでには、まだ努力が必要。
トイレの改善は、消臭、親子トイレやベビーチェア、多機能トイレの設置など、ずいぶん進んだように思うが、企業側からの提案には限界があることに気づき、現在は『お客様にとっての使いやすさ=ユーザビリティ』を重視している。現場にいる第一線の社員が吸い上げるお客様の声のほか、インターネット経由や『JR東日本ご意見承りセンター』に届いた要望をデータ化するとともに、SNSを通じたつぶやきなども、社員全員が見られるようにしている。ぜひ、「〇○駅のエスカレーターのベルトが汚い」など、具体的な内容をどんどん知らせてほしい。迅速に対応する所存です。



〇大宮支社について

大宮支社はJR東日本12支社のうち最も新しい上、5方面に伸びる新幹線ネットワークの要と首都圏輸送ネットワークの北の砦、観光地を備えた、JRの縮図のようなところだ。
大宮は今でこそ「鉄道のまち」で知られているが、高崎線が通った明治16年に駅はなく、浦和駅の次は上尾駅であった。大宮宿の衰退を憂えていた白井助七氏が、高崎線から宇都宮線への分岐駅を作ってくれるなら土地を無料提供すると名乗りをあげた。
その後も周辺に工場や操車場が作られ、今では全国で有数の規模を誇る大きな駅となった。
現在の大宮支社のコンセプト「ともに明るい未来を創ろう」の言葉通り、今後は地域の方たちと協力して、遠方の観光地へ向かう人たちが途中下車をしたくなるような魅力ある街情報を発信していきたいと思っている。

〇ダイバーシティ(多様な人材を受け入れるということ)

制度は変わっても、人の心はなかなか変わらない。
男性と同様の職種での採用が始まると「女の子が夜働くのは可哀想だよね。」と言われ、新しい職場へ転勤の際は「管理体制がしっかりしたところだから大丈夫」と励まされる始末。雇用機会均等法以降、やっと男子と同等に働けると門戸が開放され、自ら女性が選んだにもかかわらず、である。
それまで女性は深夜業の無い職場やどちらかというと“女性らしい”と一般的に考えられる分野で働くことがほとんどであった。女性側にプロ意識に欠ける部分があったことも事実だろうが、結局、働き続けるのは困難で、第1子、特に第2子の出産をきっかけに退職する同期は多かった。
が、2004年、当時の社長の号令で社員の意識改革と制度の推進が図られた。育児休職の延長や復職するときの配慮、そこから発展し、2009年には分娩休暇を除いて、育休も介護休暇も時短勤務も男女が同じように、ライフワークバランスを考えながら選択できるようになった。性別は、趣味や宗教、国籍と同じように個人の1個性であり、いろんな個性がぶつかり合いながら最大限に個々の能力を発揮することで、企業の競争力は高められていく。今では、山手線車掌の4割は女性だし、車掌も運転手も女性という電車も珍しくない。が、たまにお客様から「女性運転手で大丈夫?」という声を聞いたことがある。男性も女性も等しく厳しい訓練を受けているので、どうか信頼してほしい。これが会社のスタンスである。
これまでは女性の採用と職域の拡大を意識してきたが、今後は育成と登用を主眼においてやっていくと先般プレス発表したところでもある。

〇伝えたいこと

好きな言葉は『一期一会』と
『try to learn everything about something, something about everything』
(生物学者トーマス・ハックスリーの碑文より)
専門分野という狭い領域については深く、そして一般的なことに関しては浅くで良いから広く学びなさい、というような意味だと思われる。広く物事を知るということは、何かを決断するときに大いに役に立つとこの頃実感する。
働き始めた頃は「大学の講義って役に立たない」と思ったことも事実だが、今は4年間勉強しておいて良かったと断言できる。リベラルアーツが軽んじられる風潮の昨今、専門の勉強を極めることと同じくらい、本を読んだり人と話したりすることは大切で、いずれ大きな財産になるということを若い学生たちに機会があれば伝えたいと思っている。

 
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