■開始前
準備は10時から始まります。雨の中、第1陣のスタッフ数名が集まります。
まず看板の掲示、会場設営など。ピアノ、椅子の配置には、毎年とても神経を使います。
pocoさん作のレイアウト図(演奏者、幹事、会場オーナーなどが半年ほど前から検討したもの)に従って、スタッフ全員で手際よく配置します。
リュートの音色を考慮して、今回演奏者の位置と聴衆の位置を大きく変えました。
ピアノの移動にはスタッフのご主人にもお手伝いをお願いしました。
30分ほどすると、演奏家3人が到着してリハーサルを始めます。
スタッフでスタジオオーナーのA.Aさんが照明、音響などを調整します。
同じころ、遠方からの第2陣スタッフも合流して、それぞれ担当の準備にとりかかります。
ティータイムのケーキ調達、カード販売の準備、お茶の準備、受付の準備、高齢会員の出迎えなどなど。
この間1時間半ほどの間に各自お昼を済ませて準備完了。
やがて手芸の会の一団も到着。手作り作品の販売準備を始めます。
福祉団体に届ける収益、今年はどのくらいになったでしょうか。
そうこうしているうちに、参加者がぼつぼつ集まり始めます。
受付では参加者の名前をプリントした小さいカードを渡します。
帰りには間違いなく自分の靴で帰ってもらうために靴に入れてもらうのです。
■演奏開始
午後1時30分、いよいよコンサートが始まります。
進行役はプチさいたま代表のpocoさん。
演奏者は、リュート演奏家の 櫻田 亨 ( とおる ) 氏を中心に、専門は声楽ながらリュートも演奏なさる山崎綾子さん、それと埼玉支部会員ながらリコーダーとリュートの演奏をなさる小坂和子さん。
pocoさんから3人のプロフィールが紹介されました。
♪櫻田さん
日本ギター専門学校・オランダハーグにある王立音楽院卒業。
リュートを佐藤豊彦氏に師事。
リュートソロだけでなく歌や笛などとの小編成のアンサンブルにも定評がある。
佐藤氏とともにリュート&アーリーギターソサエティ・ジャパンを設立、愛好家の育成にも力を入れている。
音楽以外では、西洋美術や茶道にも造詣が深い。
♪山崎綾子さん
東京音楽大学音楽学部声楽専攻卒業。声楽を学ぶ傍らリュートを櫻田亨氏に師事。ソロ活動、合唱指導、ボイストレーナーとして活躍中。
♪小阪和子さん
リコーダーに合わせてリュートを櫻田亨氏に師事。東女大日文科卒。
プログラムは、ルネッサンス時代の優しい伸びやかな曲が、ソロ、合奏、また独唱を交えるなどヴァラエティ豊かな構成で演奏されました。
前半は、イギリスの音楽が10曲ほど 、とくに作者不詳の名曲グリーンスリーブスは、3台のリュート、 歌とリュート、リコーダーとリュートなど、さまざまなアンサンブルで5曲、何回か聞いたことのある曲だけにとても楽しめました。後半はフランスの音楽とイタリアの音楽で、いずれも櫻田氏のリュートを中心にした聞きごたえのある演奏でした。
合間に櫻田氏のトークで楽器の説明や曲の紹介がなされ、これがまたとても楽しく、会場が中世の貴族の館のように優雅な雰囲気に包まれました。初めて聞くリュートの音色に一同うっとりして、とてもいい時間が流れました。
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櫻田さんのお話から…
リュートは、中近東で生まれヨーロッパ、中国を経て、日本に伝わって「琵琶」となった。
16〜17世紀、ヨーロッパ中で非常に人気のあった楽器で、リュートを弾けることが貴族としてのステータスだった。
エリザベス女王1世もお好きで、中でもガリアルドというダンス曲が大好きだったそうです。
理由は、寒いのでリズミカルなダンスで温まる、もう一つは素敵な男性と踊る愉しみ。
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最後はクリスマスメドレー!リュートの伴奏で「♪荒野の果て」「♪諸人こぞりて」「♪牧人羊を」「♪ひいらぎ飾ろう」を会場全員で歌いました。
大きな声でいいですね、と櫻田さんに褒められて(呆れられて?)、後半はさらに元気な声で歌って、一足早くクリスマス気分を味わいました。
3人の美女から花束が贈呈され、アンコール曲の演奏。
またもグリーンスリーブスの曲に日本語の歌詞、これを山崎さんの美しい声で聴かせていただきました。今回はいろいろなグリーンスリーブスを堪能できて大満足でした。
■ティータイム
椅子の配置を変えてお茶とお菓子をいただいた後、K.Aさんの温かい進行で歓談が続きました。
▼今日は静かな曲を聞かせていただいたが、リズミカルな元気のいい曲はリュートではやらないのですか?
(A:バロック音楽には早いテンポのものもあります)
▼どういうきっかけでこの古い楽器に取り組まれるようになったのですか。
(櫻田さんのA:師匠の佐藤豊彦先生にめぐり合ったこと。現在も指導を受けている。)
(山崎さんのA:声楽が専門なので、弾きながら歌える楽器を探した。大きすぎたり重すぎたり、いろいろ検討して、軽いリュートに決めた。)
(小坂さんのA:軽いこと、高齢者に向いている。)
▼古い風景画にリュートを持った青年などが描かれているが、野外でも演奏するのか。
▼バルコニーの恋人に向けて演奏するのもリュートですか。
▼衣装が中世の雰囲気で素敵ですが…。 (身ごろは着物の帯地、袖と襟をつけて仕立てた)
など、櫻田さん曰く「文化的(笑)な質問」が続きました。
■支部長N.Oさんの挨拶、pocoさんから、裏方スタッフ、スタジオオーナー、そして演奏を聴きにいらしてくださった皆様への感謝の言葉、などが続いて、幕が下りました。
希望者は打ち上げパーティで余韻を楽しみました。
■最後のチャリティコンサートを終えて
13年前、持田久米子さん(故人)の発案で始まったコンサートが、今回で終止符を打つことになりました。
最初からずっと携わってきたものとしては若干の寂しさを感じています。
13回それぞれに思い出深いものですが、私自身は今回のコンサートが最高だったと思います。
心から楽しみました。演奏そのものが素晴らしかった、リュートの音色が心に沁みた、それに埼玉支部の会員の小坂さんが演奏されたなどのせいでしょうか。
ティータイムの話し合いもよかったですね。
最後ということで心に残ったのは、裏方を担うスタッフ全員の気持ちが一つになって、お茶の接待、下足番、会場の設営・片付け、こまごまと配慮して、黙々となすべきことを、否それ以上の働きを、すべてのスタッフが行う姿でした。
代表のpocoさんを中心にきめ細かい準備を重ねたからこその成果、これは何物にも代えがたい宝物です。
最初の頃のたどたどしい運営を思い出すと、13回の間に芸術品のように磨き上げられた姿に涙がでるほど感動しました。
その中の一人として参加してこられたことに感謝の気持ちでいっぱいです。
最後に雨にも時にはみぞれの日も聞きに来てくださった多くの皆様にお礼申し上げます。
そして、こんな素晴らしい企画が今回で終わってしまうのは残念だと今更ですが思っています。
いつの日か、どなたかがまた新しい形でスタートしてくれることを祈っています。
(H.O)
毎年11月第3週の土曜日のお昼過ぎの、一足早いクリスマスチャリティーコンサートに、いつも新鮮なわくわくした気持ちで参加させていただけたことに感謝の気持ちでいっぱいです。
13回、バラエティーに富んだ楽器や歌声の持ち主が登場し、参加者は演奏者と同じ目線で音楽空間を共有しました。
そしてティータイムは、「こんなことを直接聞いてみたい!」という参加者と、それに誠実に答える演奏家との熱く和やかなひと時となりました。毎回、参加者の機知に富んだたくさんの質問のおかげでコンサートをより深く楽しむことができました。
そして手芸部の素敵な作品、交流奉仕部のクリスマスカード、T.A.さんのクリスマスグッズ、A.N.さんのお菓子やけやきの郷のクッキー等の色彩に包まれ、温かい飲み物とケーキにほっと一息。
終った後の参加者とスタッフの笑顔に支えられてきた13回だったと思います。
これまで縁の下の力持ちになってくださっていながら、最後のコンサートに参加できなかった皆様にも今回のコンサートの様子を上述のH.O.さんのレポートで楽しんでいただければと思います。
(K.A.)
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