2007.09.19 Wednesday
東京女子大学建築散歩
9月18日、支部長Sさん、副支部長Tさん、若手役員ホープSさんと一緒に「東京女子大学建築散歩」に参加しました。このイベントは女子大後援財団主催、講師は埼玉大学の建築がご専門の内田青蔵先生。
まず、チャペルに集合、お話を伺いました。
大正8年、大学理事会は当地にキャンパス用地としておよそ3万坪の購入を決定、翌年には建物の設計図を用意、建設資材として鉄筋コンクリートの採用が決まりました。
設計者は当時、常任理事であったライシャワー(のちの駐日大使ライシャワー氏のお父上)の推薦によりアントニン・レーモンドに決まりました。彼はチェコに生まれプラハ工科大学卒業後、渡米、のちアメリカの市民権を得ます。のち、ライトに師事し来日、帝国ホテルの設計に携わるのですが独立、自分の設計事務所を開きちょうどその頃、女子大の建設をてがけたのです。
彼の設計は菱形の不整形な敷地を大きく2分し、(旧図書館を中心とする学問の場と外国人教師や寮からなる生活の場)しかも左右対称をたくみに取り入れたものだそうです。
いろいろ興味深いお話を伺った後は実際に建物見学に出かけ、細部にわたり先生に説明していただきました。
レイモンドの設計の特徴は、といえばやはり当時、パリで展開されていたピカソやブラックを中心とするキュビズムの影響を受けたチェコキュビズムでしょう。これは建築装飾を幾何学的な平面に還元、それを立体的に再構成したものといわれたものだそう、しかもチェコで流行したのはきわめて短期間だったのでその意味でも極めて貴重な建造物と言えます。
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その典型はもちろんチャペル。この建物、実はパリ郊外のランシーに建つ打ち放しのコンクリート構造による教会堂とそっくりだそうで現地には何と女子大のチャペルの写真が飾ってあるそうです。
このコンクリートの打ち放し、今でこそよく見られますが、当時の様式としては画期的な工法で地肌の美しさが際立ちます。
また鉄筋コンクリート自体、当時の最先端の工法、しかも鉄筋とコンクリをふんだんに使ったおかげで関東大震災の際の被害もとても軽微だったそうです。
旧図書館(現在の本館)の直線的な内装やすすきをデザインしたステンドグラス、ライシャワー館の幾何学的なデザインがほどこされた暖炉、キュビックな印象を受ける安井記念館外国人教師館などを見学しているうちにあっという間に時間が過ぎ・・・
一同あわててチャペルに戻ります、途中、解体された寮の近くを通ったときのことでした、「東寮がなくなっちゃって本当に寂しいわ・・・せめて煙突だけでも残してほしかったわ」という声が。本当に実感がこもっていました。確かにとても美しい建造物がひとつひとつ消えていくのは寂しいですね。
チャペルでは再度ステンドグラスを鑑賞、よーく見ると十字架が浮かび上がってきます、聞くところによるとずーっと先にはエルサレムが・・・どなたか脚に自信のある方、いかがですか。
かくして有意義な2時間が過ぎていったのでした。
(aze)